北海道 特殊清掃.ASIAの久保田です。

本日のブログは、”孤独死”が起きてしまった時の対処法について書いていきます。

身内や親戚といった近しい方が孤独死・孤立死してしまう・・・という状況を経験するのは、一般的に見てもそこまで多いことではないと思いますが、だからこそいざ起こってしまった時の対応を知らない方も多いと思います。

生前によっぽどの準備をしている方でもない限り、ご葬儀の手続きや親戚への連絡、各種保険や死亡届の手続き、健康保険証の返還などに追われて「大切な人を亡くした悲しみ」を感じる暇もないほど忙しくなってしまうことが予想され、故人が集合住宅や賃貸で亡くなってしまった場合には、そこへ追い打ちをかけるように原状復帰や近隣の方への対応に追われてしまいます。

そもそも”孤独死”とは?


”孤独死”
とは、長期間に渡って誰にも看取られることなくひっそりと一人で亡くなってしまうことを指します。

よく似た言葉に”孤立死”という言葉もあり、明確な定義こそないものの同じ意味合いの言葉として使用されています。

持病の悪化や怪我によって死亡するケースが多いという事で、いずれも突発的なことがキッカケとなって起こってしまいます。

特に、孤独死の中でも独居高齢者の孤独死が特に多いと言われていて、年間の孤独死件数の約25%以上は65歳以上の高齢者というデータもあり、実際に私達が孤独死に関わる特殊清掃を行う際にも高齢者の割合はかなり高い(少なくとも50%以上)と感じております。

孤独死件数の統計については、公的機関で調査した統計で年間2000件という情報に対して、民間で調査した統計では年間30000~40000件の間で推移しているという情報もあり、厳密な件数の特定は難しそうですが、現在でも年間を通してかなり多くの方が孤独死となってしまっていることが予想されます。

孤独死が起きてしまったら・・・

・警察へ通報

孤独死を発見したら直ちに警察に連絡しましょう。

死因や事件性の有無が調べられ、状況によっては司法解剖によって判断されます。

司法解剖の結果が出るまでは早くても約1週間、場合によっては10日以上かかることもあるそうです。

・近所の方や大家さんへの緊急対応

死後、すぐに発見された場合はご遺体の腐敗による臭気の発生も少なく、近隣に迷惑をかけてしまうということは考えにくいです。

しかし、死後数日経って発見されるアパートやマンションといった賃貸での孤独死の現場は、腐敗臭(死臭)やハエなどが近隣部屋に拡散してしまう危険性があり、近隣居住者からの苦情・トラブルが考えられますので、なるべく早い段階での対応が必要になります。

・腐敗臭(死臭)の漏洩対策


孤独死現場へ伺わせて頂くと、換気目的からか窓を開けっぱなしにしてあることも度々あるのですが、窓を開けて換気しておくのは基本的にNGです。

ハエが1匹でも入り込んでしまうと数日後には数千~数万匹のウジやハエが増えてしまいます。

特に臭気が強い場合は臭気による近所トラブルにも繋がりますので、窓は全て閉め切り、玄関ドアや共用部へ繋がる隙間は養生テープ等で全て塞いでおくのが良いと思います。

集合住宅の場合は配管が繋がっている場合もあるので、換気扇についてもなるべくオフにします。

香りの強い芳香剤を置いても根本の解決にはならず、その芳香剤の臭いが苦情の原因となることもあるのでお勧めしません。

共用部に漏れた僅かな臭いをごまかす為・・・くらいであれば仕方がない場合もありますが、死臭と香料のニオイが混ざって悪臭が助長されてしまうことが結構あります。

市販の置き型消臭剤を使用される場合は、なるべく無臭タイプのものを玄関や玄関前といった空気の流れる箇所に設置しておくのがベストかと思います。

葬儀会社に相談する

遺体が警察へ運ばれ、司法解剖が終わり捜査結果が出ると遺体を引き取ります。

しかし、その時に親族の方が遺体を持ち帰るわけにはいきません。

遺体が発見された段階、若しくは警察に引き取られた後、すぐに葬儀会社さんに連絡しましょう。

葬儀会社さんが管轄の警察と連携して遺体の引き取りを行い、葬儀場・火葬場へ搬送してもらえます。

・特殊清掃業者への連絡
稀に、ご遺族の方が自分で汚染箇所を清掃する場合もありますが、遺品整理や清掃を行うにも、現場が凄惨な場合にはご遺族の方が入れない・・・ということも大いに考えられます。

耐性が無い方はPTSD(心的外傷後ストレス障害)になってしまうリスクもあるので専門業者へ相談するのが確実かと思います。

孤独死の発生したお部屋のご遺品整理・現状復旧の責任は遺族に生じます。

ですが、警察署から許可が出るまでは現状復旧・遺品整理を行うことはできません。

事件性があると判断された場合、室内の物的証拠が処分されてしまうことを防ぐ為、警察が決めたルールだそうです。

清掃や消臭・リフォームなど、どこまで原状回復を行うか・・・というのは、住まわれている年数や大家さんによっても変わりますので、警察から許可が下りるまでの期間に大家さんに原状回復義務がどこまであるのかの確認をしましょう。

おわりに


大まかな説明になってしまいましたが、集合住宅等での孤独死が起きてしまった際の対応について書かせて頂きました。

家族や身内が孤独死してしまったという状況でも、近隣の方や大家さんから「早く悪臭をなんとかしろ!迷惑をかけやがって!」という心無い言葉を浴びせられてしまうこともあります。

それぞれ立場があるので仕方がないかもしれないですが、いくらご遺族の方に現状回復義務があるといえど、身内に不幸があった方に対してそのような言葉をかけてしまうのはなんだか悲しく感じます。

大家さん側としても、ご遺族の方が相続放棄・・・という選択をしてしまうと、原状回復は大家さんが行うしかなくなってしまいます。

難しい問題ではありますが、双方の歩み寄りが必要になると思うので冷静に対応していきましょう。

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