こんにちは。特殊清掃.ASIAの久保田です。
北海道も暖かくなってきており、心なしかニオイの発生を伴う現場も増えてきた印象があります。
孤独死の現場に足を踏み入れるたび、そこに残されたご遺品と向き合うことになります。
私たちの仕事は思い入れがある品物を扱う機会が多いと思います。
多くの場合は適切に処分やリサイクルを行いますが、時にはご依頼者様から「もし使っていただけるなら、捨てるよりも・・・」と、大切な形見を譲り受けることがあります。
今回は、ある孤独死の現場からお譲りいただいた「飛騨産業の椅子(キツツキマーク)」のリメイクが完成したお話と、今後リメイクを予定している「囲碁盤」について書いていきます。
1. 飛騨産業「キツツキ」チェアを無垢な仕上げに
まずご紹介したいのが、こちらの2脚の椅子です。

日本を代表する家具の聖地・飛騨高山の老舗メーカー「飛騨産業(キツツキマーク)」のチェアです。
写真の右側が、現場からお譲りいただいたものを清掃した状態です。
長年の歴史を感じさせるレトロな雰囲気は魅力的ですが、孤独死の現場にあったため、表面の微細な汚れや特有のニオイが染み付いてしまっていました。
私としても、このまま使うわけにはいきません。
そこで、表面の古いコーティングごと、すべての塗装を削り落とすことにしました。
広い面はサンダー(研磨機)で一気に削れますが、問題は背もたれのスポークや脚などの細かい部分です。ノミなどを使って手作業で削ろうと試みたものの、想像以上に難航。
すぐに諦めて電動ルーターを購入、まるで歯医者さんにでもなったかのような作業で一本一本丁寧に削り落としました。
写真の左側が、苦労の末に白木を露出させた状態です。
ニオイの元となる層を完全に除去したことで、不快な臭気は一切なくなり、木そのものが持つ優しい香りが戻ってきました。
2. 木の素肌感を守る特殊コーティングの実験
表面を削った無垢のままだと、ちょっとした汚れでもすぐにシミになってしまいます。
撥水効果を持たせつつ、この美しい白木の風合いを一切変えないために、少し特別なコーティング剤を選びました。

ストーンマスターさんの「Micro Sealer WOOD GUARD(マイクロシーラー ウッドガード)」です。
木の表面にたっぷり染み込ませることで、内部に強固な防水層を作ってくれる浸透性のコーティング剤です。
実は、2枚目の写真はすでにコーティング済みの状態なのですが、塗る前と比べて本当に殆ど風合いが変わりません。
このウッドガードは、紫外線劣化を防止する効果(UVカット)は含まれていませんので、今後の紫外線による変化は気になるところです。
今回は、自分たちで使いながらその経過や耐久性を観察する「実験」も兼ねてチョイスしてみました。数年後の変化も追ってレポートしたいと思います。
3. 囲碁盤を極上の「まな板」へリメイク予定
そして、椅子と同じようにご依頼者様からお譲りいただいたのが、こちらの囲碁盤です。

囲碁盤には古くから「榧(カヤ)」という木材が最高峰として使われており、特に九州産の日向榧などは一級品として有名です。
「太刀盛り(たちもり)」といって、日本刀を使って漆で盤面の線を引くのも伝統技術として有名です。
榧は適度な油分と弾力があり、水に強いため、実は「まな板」に最適な材質でもあります。
私は趣味で自宅の包丁を研ぐ機会が多いので、包丁の切れ味の落ち具合についても敏感なのですが、榧のまな板を使うと切り心地が気持ちよく、とても長切れしてくれます。
木の適度な弾力で刃が傷みにくいのでしょう。
もし国産本榧の一枚板であれば高値で再販が可能ですが、こちらは「新榧(しんかや)」と呼ばれる比較的成長の早い木を繋ぎ合わせたものでした。
一枚板に比べて再販が難しいですが、そのまま処分するのも勿体無い為、こちらも実験を兼ねて「まな板」に加工して使ってみようと思います。
状態は綺麗なので1番は囲碁盤として使った方が良いとも思うのですが、私は囲碁を全くやらないのでまな板にして再利用です。
終わりに
遺品整理の現場から出てくるモノは、丁寧に汚れを落とし、手を加えれば、再び輝きを取り戻して生まれ変わる品もあります。
再販までには至らずとも、再利用の可能性がある品は沢山あります。
捨てるのは簡単ですが、遺品整理を沢山行わせていただく機会があるからこそ、本当に勿体無いと痛感します。
もしかすると、「え!他人の遺品を使ってるの!?」と驚かれる方もいるかもしれませんが、私のように全く抵抗が無い人間もいます。
広さも期限もない、無限に保管できるようなスペースがあれば、「ご自由にお待ち下さい」と置いておけば、欲しい方に再利用してもらうことも可能なのでしょうが、会社として行うにはとても現実的ではありません。
そんなに大きなことを考えても仕方がないので、物を大切にすると言う事も含め、私にできる範囲で再利用できるものは再利用する意識を大切にしようと思います。
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